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原子爆弾を生み出したマンハッタン計画(1944年)から60年代に至るまでに,アメリカ国内やビキニ環礁で行われた核「人体」実験を,膨大な公開情報をもとに調べ上げたのが本書.
実験内容は,現在から見れば非常に酷い.末期患者へプルトニウムを注射器で投与し,排泄物に残留するプルトニウムから代謝量を測定する.核実験でできたキノコ曇に戦闘機を突っ込ませ,兵士がどれだけの時間戦闘能力を保持できるかを調べる. モルモットにされた人の一部は死に,生き残った人達は後遺症に苦しみ,その子供たちは重い障碍をもって生まれた. 読み進むうちにやりきれない気持ちになってくる.人体実験を行った医師の大半は,治療効果が全くなく反対に命に関わることを知りながら,患者には「治療行為」と偽って実験を進めていた.そして問題が明るみなると決まって「危険だとは知らなかった」と宣う.どうやら医師としてのプライドなど,学者としての功名心の前には簡単に消え去ってしまうものらしい. アメリカですらこうなのだ.自分や周りの人が,気づかないうちにモルモットにされていたら...と考えるとゾッとする. なぜインフォームドコンセントが,カルテの公開が必要なのか,この本を読むとよくわかる.裏切りに怒るだけではなく,二度と裏切れないようなシステムを,僕たちは作らなければならない. |
[上巻] [下巻] |
| 第一部 | 「産物」 | |
| 第一章 | プルトニウムは酸の味 | 3 |
| 第二章 | カリフォルニア大学・放射線研究所 | 9 |
| 第三章 | シカゴ大学・冶金学研究所、一九四二年 | 23 |
| 第四章 | 許容線量 | 35 |
| 第五章 | マンハッタン計画始まる | 49 |
| 第六章 | 顔を見せたプルトニウム | 61 |
| 第七章 | 人体実験の立案 | 72 |
| 第八章 | エブ・ゲイド | 80 |
| 第九章 | ではお次――アーサーとアルバート | 88 |
| 第一〇章 | トリニティ実験 | 99 |
| 第十一章 | 小さな太陽 | 109 |
| 第十二章 | 仕事は続く | 126 |
| 第十三章 | ロチェスターの流れ作業 | 131 |
| 第十四章 | 誤診された主婦 | 145 |
| 第十五章 | 量を増やせ――シカゴ | 157 |
| 第十六章 | 最後の三本――戦後のバークレー | 161 |
| 第二部 | 核のユートピア | |
| 第十七章 | 十字路にて | 181 |
| 第十八章 | 来る人 去る人 | 197 |
| 第十九章 | 原子力委員会(AEC)の隠蔽工作 | 210 |
| 第二〇章 | 嘘をつけるほどの愛国者――シールズ・ウォーレン | 219 |
| 第二一章 | 金の亡者と神様と | 232 |
| 第二二章 | ナシュヴィルの妊婦たち | 247 |
| 第二三章 | ファーノルド校の少年たち | 259 |
| 索引 | ||
| 第三部 | 核実験のモルモット | |
| 第二四章 | スターリンの果たし状 | 3 |
| 第二五章 | 兵士のモルモット第一号 | 13 |
| 第二六章 | 放射能の粒 | 19 |
| 第二七章 | 焦土の演習 | 26 |
| 第二八章 | モルモットになりたい…… | 36 |
| 第二九章 | キノコ曇の決死隊 | 39 |
| 第三〇章 | 志願将校 | 53 |
| 第三一章 | 逆さキノコ曇 | 58 |
| 第三二章 | 死体泥棒は愛国者 | 67 |
| 第四部 | 合衆国版・ナチ収容所 | |
| 第三三章 | 「マウスかヒトか?」 | 87 |
| 第三四章 | ヒューストンの「クリップ」軍医 | 101 |
| 第三五章 | 核の戦場・シンシナチ | 109 |
| 第三六章 | オークリッジの照射室 | 125 |
| 第三七章 | 囚われのボランティア | 135 |
| 第三八章 | よみがえるプルトニウム注射 | 159 |
| 第三九章 | 「小説よりも悲しい……」 | 182 |
| 第五部 | 清 算 | |
| 第四〇章 | 「事実を言おう」 | 199 |
| 第四一章 | 暴露と痛み | 215 |
| 第四二章 | 人体実験調査委員会――一九九四年 | 229 |
| 第四三章 | 涙の証言 | 234 |
| 第四四章 | 本を開いてすぐ閉じる | 241 |
| 第四五章 | 大統領の謝罪 | 251 |
| 第四六章 | 「もう二度とは……」――一九九六年末 | 253 |
| 第四七章 | ごまかしと現ナマ | 257 |
| エピローグ | 263 | |
| 謝辞 | 273 | |
| 訳者あとがき | 277 | |
| 索引 | ||
| 略年表 | ||
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