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現在,あらゆる疾患や先天性障碍,さらには性格や嗜好性までをも,その原因を「遺伝子」に求める風潮が強い.これに真っ向から異を唱えているのが本書だ.
実際,遺伝子治療の対象となるのは,ごく少数の遺伝性疾患に限定される.ヒトゲノム計画の目的の一つである「医療貢献」なんてのは,予算獲得のためのお題目にすぎない.もうちょっと優しい言い方をすれば,投入された予算のほとんどは,遺伝子治療とは関係ない.
研究者達の本当の目的は,“遺伝子ビジネスで一旗挙げること”だ.ベンチャービジネスブームに乗って彼らは,慢性疾患遺伝子だとか,はては精神病遺伝子なんかを見つけてきては,検査キットとして売り出す. 「それでも自分に発病傾向があるかを知ることは重要」...確かにそうだ.それを“自分一人だけが知る”のであれば.
ここで著者が警告して(そして実際に起こって)いるのは,遺伝検査によって引き起こされる新しい差別だ. タイトル通り,「遺伝子万能」とマスメディアの情報を鵜呑みにして,思考を停止してしまっては,一方的に騙される.僕たちは,科学を監視する視座を持たなくてはいけない.
読み始めはちょっと文章がきついかなぁ,と感じたけど,読み進めるうちに,そう書きたくなる気持ちがよくわかった. |
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| 序文――私たちが本書を執筆した切実な理由 | 9 | |
| 一九九九年度版への序文 | 15 | |
| 第1章 | 私たちにとって遺伝子とは何か? | 35 |
| 第2章 | 遺伝的レッテル貼りと旧式の優生学 | 61 |
| 第3章 | 新型の優生学――遺伝子検査、“病的遺伝子”保有者のふるい分け検知、胎児殺しの選択 | 81 |
| 第4章 | 遺伝学のかんたんなおさらい | 119 |
| 第5章 | 「遺伝子」概念は社会に誤解と偏見をもたらしている | 169 |
| 第6章 | 各種慢性病の「遺伝的素質」という迷信 | 201 |
| 第7章 | 各種行動の「遺伝的素質」という迷信 | 247 |
| 第8章 | 私たちの「遺伝子」を操作しようとする目論見 | 281 |
| 第9章 | 遺伝子の商品化 | 301 |
| 第10章 | 遺伝子差別――学校・職場・保険加入の現場にあらわれた新たな差別 | 323 |
| 第11章 | DNA照合による個人識別システムが、プライバシーと市民的自由に及ぼす影響 | 361 |
| 第12章 | 結びに代えて…… | 391 |
| 一九九九年度版のための後記 | 403 | |
| 付録:ミトコンドリアDNAについての特別講義 | 445 | |
| 訳者あとがき | 469 | |
| 注記 | 453 | |
| 用語解説 | 485 | |
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