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コミュニティ心理学とは,伝統的な臨床心理学におけるパーソナリティに着目した分析手法とは異なり,社会・環境要因に注目する.このコミュニティ・アプローチを用いた臨床心理が,表題であるコミュニティ臨床心理学だ.
人がヒトとして生まれてくるのは自明だけど,放っておけば人になるわけではない.多くの事を学び,知的・肉体的・心理的に発達することで人となる.さらに,人と接する状況でだけ,ヒトは人でいられるのだと思う. このような視点から読むと,本書には興味深い研究事例が多い.
保育園児において,3歳未満での入所児は,3歳以上での入所児を比較して,情緒の安定性と社会的安定性が高く,自立性と自制力が低いそうだ(2章).幼年期から同世代の人間と接することにより,自己アピールと協調性のバランスが取れている,と読み取ることもできる.
四章における,障碍児の親子関係が障碍児に与える影響と,コミュニティ・アプローチの重要性は,僕にとっては衝撃的だった.親の過剰な介護が子供の自我発達を妨げている,というのだ.単に配膳や片づけができない,といったレベルではない.所有意識や自我表現,つまり自他の分化という心理面での発達が,遅れてしまうのだ.
全体として良書ではあるが,5章のジェンダー論は酷い.他がよいだけに,余計に目立ってしまう.
繰り返しになるけど,5章を除いて良書です.特に育児におけるコミュニティ・アプローチの重要さが切々と伝わってくる.子を産む女性にぜひ読んでもらいたい.母(父)と子だけで長時間過ごす核家族的育児環境は,親にもそして子供にも悪影響が大きい. †
Freeman, D. (1984) Margaret Mead and the Heretics. Penguin, London.
Freeman, D. (1999) The Fateful Hoaxing of Margaret Mead. Westview Press, Boulder, Colorado. |
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| 序 | はじめに | i |
| 第1章 | なぜ今<コミュニティ・アプローチなのか> | 3 |
| 第2章 | 人間発達に学ぶ | 20 |
| 第3章 | 子育ち・子育てとコミュニティ・アプローチ | 85 |
| 第4章 | 親子関係とコミュニティ・アプローチ | 120 |
| 第5章 | ジェンダー形成とコミュニティ・アプローチ | 154 |
| 第6章 | 中高年の発達とコミュニティ・アプローチ | 174 |
| 第7章 | 生涯発達と心の健康 | 212 |
| あとがき | 242 | |
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